プラセンタは肌に有効な成分が最適なバランスで含まれていますが、これまでは加熱によってその有効性とバランスが失われてきました。
しかしFILTOMは「原料・輸送・生産」全工程で安全性と有効性を最適化することにより、世界で初めて完全非加熱の生プラセンタを実現しました。
全工程で安全性と有効性を最適化する考え方(プロセスバリデーション)は医薬品業界で培われてきたものです。滅菌処理を加熱だけに頼ると有効性を大きく損なうことになります。調達、洗浄、膜分離、加熱処理といったすべての技術を精査して、採用工程を決定します。
原料の出発点である肥育農場での胎盤採取から、胎盤の輸送工程、化粧品の生産工程までのすべてにおいて「混入防止」「増殖防止」「除菌処理」を徹底することで、安全性と有効性の両立が実現できます。
工程ごとに選択する技術は技術の向上によって変化していきます。膜分離のみにこだわるのではなく、適切な条件が見いだされば加熱処理や薬剤処理も採用することになります。現在は膜分離を中心とした工程がプラセンタには最適であると判断しています。
本資料ではその安全性確保技術について詳しく解説いたします。
目次)
1.原料工程:徹底した胎盤洗浄と衛生管理
2.輸送工程:県内の肥育農場から冷蔵直送
3.生産工程:純原料の使用と1℃以下PD膜分離と全ロット菌検査
4.PD膜分離法:最先端の細菌・ウイルス除去技術
5.アレルギーテスト:最先端のイメージセンシング技術
基本的な考え方:全工程で安全性を最適化
プラセンタにおいて安全性を脅かす因子は感染性粒子とアレルギー性成分ですが、これらはプラセンタ特有のものではなく動物性植物性すべての食品・化粧品の原材料に通じる危険性です。栄養を享受するためには、生産プロセスにおける適切な対策と管理が重要です。家畜豚は衛生管理が極めて徹底されているため、FILTOMでは豚のプラセンタを選択しています。
感染性は雑菌やウイルスといった粒子の混入によって生じ、アレルギー性はアレルゲンたんぱく質などの微量成分の混入によって生じます。またエンドトキシンなど生産途中での細菌の増殖によって増加する危険因子もあります。そのため、原料から製品までの全工程において「感染性粒子」「アレルギー性成分」の混入と増殖を防ぎつつ、それでも残留したものを最終工程で除去することによって安全性が確保できます。特にエンドトキシンなどの耐熱性の高い危険因子については加熱だけの処理では不十分です。
(Copyrights)
福岡県内の契約農場の飼育風景。衛生的に管理され、豚肉は地元の学校給食にも使われています。
まず県内の肥育農場から健康な母豚からの胎盤のみが採取、洗浄され(①原料工程)、新鮮な状態のまま冷蔵で直送されます(②輸送工程)。
③生産工程では、胎盤以外の原料についても純度100%の原材料のみを使用し、キャリーオーバー(微量成分の混入)が発生しない社内一貫生産を徹底しています。
残存する感染性粒子やアレルギー性成分は18nmのPD分離膜を使用して除去され、全ロットの菌検査によって除菌が確認されます。最後にアレルギー検査によってアレルギー安全性が確認されます。
以上のような原料・輸送・生産の全工程における混入防止・増殖防止・除菌を徹底することで安全性と有効性を両立した世界初の完全非加熱活性プラセンタが実現しました。
以下では各工程別にさらに詳しく解説いたします。
1.原料工程:徹底した胎盤洗浄と衛生管理
安全で新鮮な胎盤は、母豚の健康管理によってはじめて実現します。その健康管理はFILTOMと肥育農場が一体となって取り組むべき課題であると考えています。
その観点から同じ県内の肥育農場に限定して契約しています。いつも目の行き届く肥育農場の健康な母豚からの胎盤だけを採取し(母豚に危害はありません)、十分に洗浄した後、新鮮な状態のまま冷蔵でFILTOMへ直送されます。
豚はもっとも衛生管理されている家畜です。外界からは隔離され、豚舎内に入る豚、餌だけでなく、従事者も労働安全衛生法で定める定期的な健康診断が義務付けられています。
豚について現在確認されている人畜感染ウイルスは日本脳炎とE型肝炎の二種のみです。その二種の混入防止と増殖防止について徹底した衛生管理を肥育農場とFILTOMが一体となって取り組んでいます。
豚について確認されている人畜感染ウイルスは日本脳炎とE型肝炎のみとなっており、それぞれの大きさは20-50nm、30nmです。豚は家畜の中でもっとも衛生管理が進んだ動物であり、これら二つ以外のウイルスは養豚肥育農場では駆逐されています。プリオン(BSEの原因となる異常たんぱく質)は牛のみで確認され、豚では確認されていません。日本脳炎ウイルスは人、豚ともにワクチンが普及し、肥育農場においてすでに十分な安全性が確保されています。E型肝炎ウイルスについては定期的に畜検査員による一頭ずつの厳密な健康検査の合格結果を肥育農場と共有しています。E型肝炎は万一感染したとしても一過性の軽度な症状です(妊婦において重篤になる可能性があります)。特にE型肝炎は経口感染がほとんどであり、経皮感染は確認されていません。日本脳炎、E型肝炎共にその人畜感染はきわめてまれで、経皮感染はさらにまれな事例です。
母豚と胎盤の衛生管理は県内の肥育農場と一体で取り組んでいます。
2.輸送工程:県内の肥育農場から冷蔵直送
輸送工程で注意すべき点は、感染性粒子の混入と増殖です。
特に細菌は増殖するため時間との勝負です。福岡県内の肥育農場から短時間で輸送し、新鮮なまま膜分離処理することで高い安全性を確保しています。
特に温度管理は徹底し、肥育農場の冷蔵庫から、FILTOMの冷蔵庫までドアツードアの輸送体制を徹底しています。
胎盤は県内のドアツードア冷蔵輸送、冷蔵保管。
3.生産工程:純原料の使用と1℃以下PD膜分離と全ロット菌検査
以上の原料工程、輸送工程の徹底した安全性管理でも残存してしまう感染性粒子やアレルギー性成分は18nmのPD分離膜を使用して除去し、全ロットの菌検査によって除菌を最終確認します。PD膜分離は1℃以下の冷蔵庫内で処理され、処理中の菌の増殖を防いでいます。そして製品化後のアレルギー検査によってすべての安全性が確認されます。
日本脳炎ウイルスの大きさは20~50nm、E型肝炎ウイルスは30nmです。20nm以下のウイルスは確認されていないため、18nmの膜分離は未知のウイルスも含めて除去性能を持っています。特にウイルスは耐熱性が種類によって大きく異なるため、膜分離処理が未知のウイルスの危険性を排除するためにはもっとも有効な手段です。加熱の場合に問題となる内毒素(エンドトキシン)を含む耐熱芽胞菌や菌の死骸も膜分離によって除去されます。
プラセンタ以外の化粧品原材料についても微量添加物の混入(キャリーオーバー)が一切無い100%純原材料を使用し、高いアレルギー安全性を確保しています。
菌検査は全ロットで実施しています。
4.PD膜分離技術
ナノサイズの粒子を安定的に除去する、世界初のフィルター技術です(特許取得済)。私たちの体内で一日200Lの血液を浄化している腎臓をモデルに開発されました。EGFのような壊れやすい粒子状の活性タンパク質も、やさしく分離することができます。
一般的な膜分離(デッドエンド式膜分離)は膜に対して垂直に液体を通しますが、PD膜分離は膜に対して平行に液体を流しながらゆっくりと液体を通します。腎臓や血管における栄養の吸収と同じメカニズムです。FILTOMはその条件について精密に研究を重ね、従来のデッドエンド膜分離では不可能であったプラセンタの膜分離を世界で初めて可能にしました。
PD膜分離装置
PD膜分離法とは、高い除去性能を長時間維持できる腎臓をモデルに開発されたまったく新しい膜分離法です。PDとはPore Diffusion(孔拡散)の略であり、血液やプラセンタといった高濃度高粘度の液体抽出に最適です。
これまでの膜分離法(膜に対して垂直にろ過するデッドエンド式膜分離)では、粒子や繊維が多く含まれている高濃度高粘度の液体はすぐに目詰まりを起こし分離が困難で、加熱処理や薬品処理、放射線処理に頼らざるを得ず、有効成分の低下につながっていました。
PD膜分離法では、原液を膜表面に対して平行に一定の流速以上で流し、膜間差圧を0.02~0.05気圧の低圧力帯に維持します。これは腎臓にほぼ近い条件で、膜中の孔を栄養成分が拡散によって通り抜けていきます。膜の孔径、流速、ろ過圧力を適切に設定することにより、腎臓と同じように長期間目詰まりなく膜分離ができるようになります。さらに膜の素材や表面の改質によって分離性能を様々に幅広く変えることができるのも腎臓の優れた特徴です。その特徴を利用してFILTOMでは将来の海水淡水化を目指して開発を続けています。
5.アレルギーテスト
当社では最新の画像処理技術によるアレルギー検査法である「イメージセンシング法」によるアレルギーテストを行っています。
FILTOMのプラセンタ美容液はアレルギー反応における「①平均値(アレルギー反応の平均値)」、「②標準偏差(アレルギー反応が出る不確実性)」、「③範囲(アレルギー反応の最大値最小値の差=危険性)」のいずれの観点においても低刺激性であることを確認しています。(自社調べ)
検査方法:
プラセンタ美容液(FILTOM)、他社プラセンタ美容液を腕に各3スポットずつ接種し、炎炎症画像を画像解析システムで自動解析して炎症度を測定します。各スポットn (n=1~1200)の炎症度Pnとして数値化し、炎症度Pn は、各試験液ごとに以下の(1)~(3)式で解析します。
平均炎症度APn=Sum(Pn)/400 ・・・(1)
標準偏差 ={1/n Σ(Pn-APn)^2}^1/2 ・・・(2)
最大炎症度MaxPn=被験者100名中で最大のPn値 ・・・(3)
ここで(1)式は被験者全体の平均値で、ブランク(水)の試験値に近くなるほど、炎症リスクが小さいサンプルであることを示します。(2)式はアレルギー反応の不確実性を示す指標で、この値が小さい程、アレルギーになる可能性が低いサンプルであることを示します。(3)式はアレルギーの危険性を示す指標で、ブランク(水)の試験値に近くなるほど、炎症リスクが小さいサンプルであることを示します。
尾池(工学博士)
【参考文献】
生物由来原料基準(厚生労働省)
医薬部外品の製造販売承認申請及び化粧品基準改正要請に添付する資料に関する質疑応答集(Q&A)(厚生労働省)
食品衛生法(厚生労働省)