コヤナギユウ氏とのC6トークをたのしむためのコンセプトワーク
「微生物育成クリーム」(プレバイオティクス化粧品)
【特許出願済】
魅力的な肌、魅力的な唇とは一体どのようなものを言うのだろうか。触れたくなる肌、キスしたくなる唇、という表現もできそうだが、そもそもキスはなぜしたくなるのだろうか。私は一つの仮説として、キスは相手の魅力的な微生物バランスの獲得が目的かもしれないとも考えている。(参考文献:“Shaping the oral microbiota through intimate kissing”, Remco Kort et al.,Microbiome2014) その観点から言えば、魅力的に見える唇というのは、理想的な微生物バランス(バイオームあるいはマイクロバイオーム)を持っていると表現できるのかもしれない。
バイオームとは地球上の生物群系(分布)のことであり、各地の気候と地質に順応した特定の生物がそれぞれ分布している。(図参照) 同様に、体の各部位の異なる肌質(気候と地質)に順応した特定の微生物がそれぞれ分布している。これをマイクロバイオームと呼ぶ。
唇に住む微生物(常在菌)は、プロピオン酸菌とコリネ微生物群、およびその他の放線菌群である。常在菌が優勢な場合、理想的な保湿成分(グリセリン、脂肪酸、乳酸など)が生産され、角質層が整えられ、健康的に見えるようになる。常在菌が減少し、バランスが崩れると、その隙をついて黄色ブドウ球菌やヘルペス、カンジダが繁殖し、口角炎や口内炎を起こす。
バランスを崩す主な要因は、ビタミン不足、酸化ストレス、唇の舐めすぎ(うるおい与えすぎ)などである。特に防腐剤と抗生物質に頼りすぎている日本社会では酸化ストレスを受けやすく、微生物バランスを崩しやすい。しかし上記のような理想的な保湿成分以外の保湿剤やグロスは、常在菌が本来必要としている成分でないため、微生物バランスは保てない。
つまり、真に魅力的な肌、唇を手に入れるには、皮膚細胞のための成分も必要であるが、むしろ微生物のための成分も届けなければならない。
そこで、ビタミンや保湿成分だけではなく、アミノ酸、カゼイン、オリゴ糖、ミネラルなど、常在菌に必要な栄養バランスに着目した常在菌のためのリップスティックを開発する。
微生物を育て、微生物とともに唇本来の力を呼び戻すリップケア。
極寒地や乾燥地で闘うコヤナギユウのくちびるサポーター、FILTOM。
(Skaftafell, Iceland, photo by Yu Koyanagi.)
Tetsuro Oike
地表の生物群系(バイオーム)マップ
(出典:Wikipedia, Biome, Public Domain)
体表に住む微生物群系(表皮マイクロバイオーム)マップ
(出典:Wikipedia, Skin Microbiome, Public Domain)