FILTOMは50年後の「PD膜分離法による低コスト海水淡水化」を目指し、次のステップを設定し、事業を進めています。
各ステップ:
ステップ1:分離対象200nm。プラセンタ原液からのバクテリア除去。2014-2020
ステップ2:分離対象200nm。池湖沼水、海水からのバクテリア除去。2020-2025
ステップ3:分離対象20nm。 池湖沼水、海水からのウイルス除去。 2035-2045
ステップ4:分離対象2nm。 海水の中水化(塩分濃度0.1%以下)。2045-2055
ステップ5:分離対象0.2nm。海水の淡水化(塩分濃度0.01%以下)。2055-2064
PD膜分離法は、膜に対して平行に流し、小さな圧力でゆっくりろ過する新しい膜分離法です。子供が砂場でざるを左右に振って砂をふるい分ける方法と同じです。そして膜の素材、孔径、流速、ろ過圧力を適切に設定することにより、長期間目詰まりなく浄化水を得ることができます。
このうち、ステップ1は開発を完了し、プラセンタ化粧品事業収入から研究資金を得ています。
まだ基礎研究レベルであるPD膜分離法を育てるため、様々な液体を分離しながら、ステップアップしています。
【ステップ2】
九州工業大学の伊東啓太郎研究室(環境デザイン研究室)と共同で、人工池の浄化研究を行っています。下の写真の白いボックス内に、PD膜分離装置を設置し、太陽光の力のみで池の浄化実験を実施しています。(2021年まで)
PD膜分離法は、エネルギー消費が少なく、かつ分離性能の高い技術です。FILTOM社は当技術の水環境への適用を目指し、生態系のモニタリング技術を有する伊東研究室と共同で研究に着手しました。
水環境の浄化に膜分離を適用する試みは多く行われています。しかしこれまでの膜分離法(膜に対して垂直にろ過するデッドエンド式ろ過法)では、浮遊粒子や繊維が多く含まれている場合すぐに目詰まりを起こし、大量処理が困難でした。そのため、塩素剤などの薬品処理に頼ってきましたが、生物がすみやすい環境づくりが困難でした。
PD膜分離法の場合、分離性能も向上し、孔径の5分の一の粒子まで除去できるようになります(出典:ICEAB13 Paper ID:11 尾池哲郎ら、”Model analysis and its evidence for particle removability of pressed non-woven fabric membrane”)。その結果、安価な不織布膜でも高度な膜分離が長期間に渡り可能になることが分かってきました。
FILTOMと九州工業大学は共同でデータの採取を続け、PD膜分離装置の改良を行うとともに、生物の生育環境と景観メンテナンスへの利用可能性を評価しています。
具体的な目標としては、PD膜分離法によって自然の水環境を再現することです。微生物の分離を行い、日光が照射されないバッファタンク内において、嫌気性微生物の活動が活発となり、天然の池沼に必ず存在する緩流域、止水域が限られた水域に実現できます。また嫌気性微生物や、過剰の種子等は、PD膜分離装置によってブロックされ、自然環境に近い物質収支が実現し、同時に清浄な景観を保つことができます。
FILTOM
2020.5.5
【地球のスキンケア】
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